情報共有の難しさ

私が仕事を始めたときには、研究成果を伝えようと思うと、最初から最後まで一人でできる媒体というものはありませんでした。今はblogなどの媒体が加わり、一人でということも可能になっていますが。
一人で、ではなく、それぞれのプロと仕事をするわけです。編集者・エディトリアルデザイナー、展示制作会社、グラフィックデザイナー・・・など、伝える媒体によりますが、実に多様なプロがかかわっています。こういうことを伝えたい!と思ったその内容が、全員で共有できるというのは、研究成果の場合は、なかなか。あーどうして!と、本当に脳みそをつなぎたくなります(笑)
ですが、それは当たり前で、研究者はその道ウン十年で、その分野の知識を積み上げた上の成果なので、私のように生命科学分野のサイエンスコミュニケーターであっても、つどつどある程度調べなければ理解できません。当然、制作にかかわるプロの方は、生命科学など知らないのですからさっぱり分からないのが当たり前。ですが、制作にかかわるすべての人が同じイメージを共有できると、その制作物には不思議なほどの伝わるパワーが宿ります。世の中には、パワーが宿っていないものもたくさんありますが、多くの人が惹きつけられるようなものは必ずそうなっているはずと信じています(笑)。伝えるためのものを制作するときに、全員で情報を共有し、同じイメージに向かってそれぞれの本領を発揮するという状況をつくる。これが、私の仕事のもっとも大切な部分だと思います。
いろいろな媒体で伝えるモノを作る際に、いつも一緒に働く方のキャラを見て、得意技を見定め、情報を伝えていますが、このさじ加減の難しさといったら!!きっちりお勉強のような形で理解してもらうと、たいていはそれだけで終わってしまい、その人の想像力を刺激することができません。理解のうえに成立するイメージへ至る道・・・。まだまだ正解への道のりは遠いなぁとおもう今日この頃です。

2016年08月16日