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国際生物学オリンピックに行ってきました

 7月22日から31日に国際生物学オリンピックのイギリス大会に引率者の一員として参加してきました。結果は4名ともが銀賞を受賞し、和やかに帰国。

 日本代表の4名の学生さんを引率するというよりは、問題の翻訳作業をしたり、採点のチェックをしたりとそちらがメインの仕事です。私は英語が嫌いなので、参加を拒んでいたのですが、翻訳された文章を校正する係として行って来ました。後は多分ムードメーカー!?久々に本気で憂鬱なお仕事だったのですが、行ってみればとても楽しかったのでした。

 日本の本選同様に、やはり学生たちにとっては勝ち抜いたかいがある、得がたい環境なんだろうなと思いました。代表の4名も各国の学生さんと交流していて、どんな大人になるのだろうなと興味津々。ここが人生のピークでないことを祈る!?

 翻訳メンバーはほぼ大学の教員です。私が大学に所属してはじめて知ったこととして作問に関するいろいろなコトがあるのですが、今回もへぇ~と驚くことがたくさんありました。一意になるように翻訳をするのですが、その一意がやはり通常の分かりやすい文章とは異なります。相変わらず言語化できていませんが、つぼが分かったので来年も行く事があれば、もう少しうまく機能できるかもと思いました。

 今回個人的に圧巻だったのは、東大の松田良一先生のプレゼンテーション。2020年に日本で国際大会を開くので、各国の引率者(jury)の前でその大会準備の進捗を報告するのです。研究者といえども英語が苦手な人は多く、なかなか難しいと良く耳にします。私が知っているのは、学会風のするどく切れがある場の制し方がうまい人。松田先生は、場の盛り上げ方が素晴らしい!!あんな場を国際的な場面で作れる人って、岡田節人先生くらい??(いや、そんなに知っているわけではそもそもないのですが)みんな松田先生が好きになってしまうようなプレゼンテーションでした。おそらく共通するのは、仕事の内容だけでなく個人的なキャラクターも受け入れられているという点でしょうか。いやぁ、英語しゃべりたいかもと思ってしまうくらいのインパクト。がんばろうっと。いや、無理だな(笑)

2017年08月21日

東大農学部でのサイエンスコミュニケーションの授業

 昨年度の冬と今年度の夏に東大の農学部でサイエンスコミュニケーションの授業を行いました。基本、立教でやっている授業のスタイルを踏襲しています。どんな学生さんが来るのかなぁと思っていたのですが、昨年度の入門編の授業は興味がある学生さん少し+単位がほしい学生さんたくさんという構成でした(笑)

 実践編は正規受講生の他に先生方の協力でやる気のある院生がたくさん受講してくれて、非常に盛り上がりました。

 実践編は、東大農学部側が内容担当で、お相手の大学が表現担当。さてお相手はどうするか、、とこれが結構大変でした。伝手をたどり、女子美のスズキヤスイチロウさんと有志の学生さんとやらせていただくことになりました。これがまた、かなり素敵な出会いで、最初は手探りながら、非常にすばらしい出会いでした。やっぱりすべては人だよなと思える展開。作品は無事に東大オープンキャンパスで展示することもできて万歳!作品などはそのうちHPで公開します!

2017年08月21日

あっという間に・・・

 ブログを書いてから大学での授業が始まり気がつけば夏休みも終わりに近づいてしまいました。やはりMacユーザーの私にはHPのためにlenovoちゃんを開くというのが億劫です。とほほ。

 国立科学博物館での展示は無事2ヶ月とちょっとの会期を終え、企画展示としては入場者数の新記録を達成しました。剥製が目白押しとかそういう展示ではなく、マニアックな発生生物学の基礎科学の展示で多くの人にご来場いただけたことは、私にとっては、でしょ、でしょ、見せ方を工夫すれば、基礎科学だって面白いでしょ!という長年の主張が証明できたようで嬉しいです。まぁ、科博という立地だったり、同時に大英博物館展がやっていたりしたことも大いに入場者数を押し上げたのですが。

 そして、なんと発生生物学会から表彰されました。びっくり。実はサイエンスコミュニケーターなどの科学の周辺分野というのは、研究者との関係が最も難しいと思っています。そこで挫折する人や勘違いする人が多い・・・。私は研究者に必要とされる、伴奏するようなサイエンスコミュニケーターを目指しているので、もうこれはある意味達成できたかもと思ってしまいました。ありがとうございます!立教の任期が今年度末で終わるので、すぐに本当に必要とされているか?が試されてしまうわけなんですが。どうなるんでしょう?がんばらねば・・・。絶賛就活中です。

 

2017年08月21日

科博企画展オープン!

 昨年の6月30日から関わった企画展が本日オープンしました。発生生物学者のみなさまが集まって企画していたもので、昨年4月から京大から学習院に移られた阿形先生のところに遊びに伺った時にそんな楽しい企画があると知り、大将の京大のよしこさんにやるってお願いしてくださいと頼み込んでから、怒涛の半年。大変だったような気もするけど、やっぱりこの企画に参加できて超楽しかったという幸せ感の方が圧倒的。発生生物学といえば、私の中では岡田節人先生なので、もともとはその恩返しという意味をこめての参加でした。恩返しというのは、研究者だけで、展示を作り上げるのは、そもそもどうやって展示ができるのかから手探りなわけでかなり難しく、貴重な彼らの時間を費やしたにも関わらず、残念な展示になってしまうことを防げるはずということです。しかも、残念な結果だと、2度とこのように研究者自らが企画するという機会が失われるのではないかという危惧もありました。

 実際出来上がってみればいろいろと思うことはありますが、そもそも発生生物学をテーマにした展示は生命誌研究館以外ではあまりないと思うので、これが第一歩でもあるので、何はともあれめでたい!!目に見えない最近の生命科学の成果を如何に伝えるかというのが私のテーマなわけですが、今回はどこまで成功したのか、こっそり来館者の反応を見に行かねばと思っております。個人的にはクロマチンの模型を制作しました。DNAを12メートル編んでみた。ヒトのNANOG遺伝子を500万倍で再現しました。3Dプリンターで打ち出したヒストンに巻きつけています。これもかなり長い間手を動かして考えたかったことなので発見があり、楽しかったです。2本のDNAを編む必要があったのですが、ぎっくり腰にめげて最後は阿形ラボの皆様にご協力いただき、完成となりました。最近、一人で作ってそれを説明するよりも多くの人に手伝ってもらって作る過程を共有することも大切なコミュニケーションだなと思うので、ぎっくり腰も良かったのかもかも。

 何はともあれめっちゃ楽しかった。サイエンスコミュニケーター冥利に尽きる!

2017年04月04日

総まとめ展示

明日から大学で展示がオープンします。その名も体感する理学展。大学での活動の総まとめのような展示になりました。メインは日大芸術学部との共同開催の授業のサイエンスコミュニケーション実践の作品です。過去の形状が保たれている作品を引っ張り出して展示したのですが、玉石混交。最初の年はかなり学生の作品をほうぼうに営業をしたのですが、それ以降の作品にもはっとするほどの作品もあり、いかんなぁと反省してしまいました。見ていただければ分かると思うのですが、本当にこのレベルの情報を加工したものというか、表現したものって日本にないよなぁと思います。外国にあるかと問われてもそんなに調べてないので分かりませんが、あんまりないと思う。ないがゆえに思いつかない人も多いのではないかとすら思えます。

いつも少ない人数の受講生でしたが、何かを感じて卒業して行ってくれていたら良いなと思います。残り少ない立教での時間。後は何をやろうかなぁと思案中。展示を作る際に振り返って、だいたいやりたいこと、試したいことはやったかもと思え、自由にやらせてくださった立教大学の理学部の皆様に感謝した次第です。

2016年10月26日

DNAって何?の映像について

 

おそらく対外的には私のキャリアを支えている作品が、講談社のブルーバックスから発売されている「見てわかるDNAのしくみ」です。これは、私が生命誌研究館で手がけた一連のDNAの映像作品で、パート1が構造と転写・翻訳(1999.5)、パート2がDNAの複製と細胞分裂(2002.3)、パート3がDNAの組み換えと減数分裂(2003.3)という5年間もかけた超大作です(笑)。
パート1ができる前が一番大変でした。98年から制作を開始したのですが、当時はまだCGがあまり手軽な技術ではなかったこと、私が創りたいと思うイメージが世の中にないものだったので、さっぱり伝わらなかったのです。パート2とパート3はすでにパート1を見てもらえれば、私が作りたいイメージが分かるので、よりよくする工夫を制作のプロが手伝ってくれて中身に集中できました。
パート1は絵コンテを描いてくれた川村りらさん(なぜか彼女は最近ロカルノ映画祭で最優秀女優賞に!)との出会いがあればこその作品です。彼女の絵コンテ制作のためにモールと紙粘土で説明をするというやり方が出来上がりましたし、なにより彼女の描くDNAの世界はなんとも魅力的なのです。まだまだひよっこだった私はこれが動くとどうなるんだろう?とわくわくして待っていたわけですが、納期も差し迫った3月、絵コンテの意味ないじゃん!という恐ろしいCGを見せられ愕然。そこで実はひ孫うけまで仕事がふられていたことを把握。その後はすべてを飛ばして直接ひ孫うけだったSolid Design Lab.の松木洋さんとやり取りしてなんとか完成までこぎつけました。学習した私はパート2とパート3は直接松木さんとやり取りしたことは言うまでもありません。社会勉強ですな。しかも、中村桂子先生からもナレーションをいれる大詰めでさじを投げられ、号泣し抵抗したことも懐かしい思い出です。出来上がった作品について文章を書いてそれを中村先生にチェックしてもらう時に、ようやく私の映像の意図を理解して頂けたようで、無事パート2に着手できました。頭の中のイメージは、それが見たこともないようなものだと、それぐらい伝わらないんだとこれまた勉強になりました。
パート2はDNAの複製を世界で始めて動画にするということに挑戦しました。山のような論文をよみ、紙粘土模型をもって多くの研究者のもとに取材に行きました。パート1を作る過程で、既存のデータを組み合わせるとこうなってないとおかしいということなどが見えてきます。そういうことを研究者にとうても、はぁ?と言われるだけで、悔しいと思っていたのですが、それが後に仮説として論文で言われるようになったりしたのです。ということは、、とパート2では意識し仮説提示できるようにと仕事を進めました。やっぱり研究者と戦うのは無理でしたが(笑)、当時の複製のトップサイエンティストのところに仮説説明のCGをつくり、それを元に議論に行こうとしたことはこれまた良い思い出です。結局そんなエネルギーは作品制作の大詰めでどうでも良くなりましたが。実はこの仕事の納期だった2月から3月の記憶がまったくありません。記憶が飛ぶほど仕事したのは初めてです(笑)。
パート3は、映像としてのパッケージというか、物語づくりに力点をおきました。というのもCGで仮説を立てるほどデータがなく、描くことに意味があるのか?という感じだったからです。私自身も大学で習ったときに理解しているとは言いがたく、製作の過程でホリデイ構造をようやく理解しました!そして減数分裂は染色体の組み合わせでできる多様性と組み換えによる染色体内の多様性があるというのも製作過程でなるほどねとしっかり理解したのでした。
この映像で松木さんは製作過程のCGを使って個展を開いてくださり、ポスターやポストカードなどのグッズができたこともとてもうれしかったです。

と思い入れの多い作品なのでした。すでにデータが古いので作り直したいのですが、予算が(笑)

2016年08月28日

生物学オリンピック2016本選

週末から生物学オリンピックにお手伝いとして参加してきました。台風が直撃するため、最終日の表彰式は中止となり、遠方の生徒さんは前日夜から、最終日も朝から生徒さんが台風直撃にならないように帰宅というハプニングつきの本大会でした。
初めての参加でしたが、筑波大学の担当教員、ボランティアの学生さんの大変さと面白さを体感!?そして参加する生徒の皆さんが楽しそうで、私が若いころはこういう場はなかったなぁとうらやましく感じました。今年の参加生徒さんはハプニング付きで忘れられない参加となったのではないでしょうか。学ぶことの楽しさ、生物学への憧れといったポジティブな感情が若者の間で渦巻いていて、このエネルギーは将来どのような形で実を結ぶのだろうと楽しくいろいろと想像してしまいました。
運営はやっぱりちょっと大変すぎるなぁというのが正直な感想です。さて、どうなることやら・・・。私はどのようなパフォーマンスを期待されているのか、そして何をできるのか、したいのか、考えてから動かないと!?
運営側にはいろいろな感情が渦巻いているのだと思いますが、あのような場を創っているということは、実は何にも換えがたい未来への投資なのかもとも思ってみたりしています。

2016年08月22日

情報共有の難しさ

私が仕事を始めたときには、研究成果を伝えようと思うと、最初から最後まで一人でできる媒体というものはありませんでした。今はblogなどの媒体が加わり、一人でということも可能になっていますが。
一人で、ではなく、それぞれのプロと仕事をするわけです。編集者・エディトリアルデザイナー、展示制作会社、グラフィックデザイナー・・・など、伝える媒体によりますが、実に多様なプロがかかわっています。こういうことを伝えたい!と思ったその内容が、全員で共有できるというのは、研究成果の場合は、なかなか。あーどうして!と、本当に脳みそをつなぎたくなります(笑)
ですが、それは当たり前で、研究者はその道ウン十年で、その分野の知識を積み上げた上の成果なので、私のように生命科学分野のサイエンスコミュニケーターであっても、つどつどある程度調べなければ理解できません。当然、制作にかかわるプロの方は、生命科学など知らないのですからさっぱり分からないのが当たり前。ですが、制作にかかわるすべての人が同じイメージを共有できると、その制作物には不思議なほどの伝わるパワーが宿ります。世の中には、パワーが宿っていないものもたくさんありますが、多くの人が惹きつけられるようなものは必ずそうなっているはずと信じています(笑)。伝えるためのものを制作するときに、全員で情報を共有し、同じイメージに向かってそれぞれの本領を発揮するという状況をつくる。これが、私の仕事のもっとも大切な部分だと思います。
いろいろな媒体で伝えるモノを作る際に、いつも一緒に働く方のキャラを見て、得意技を見定め、情報を伝えていますが、このさじ加減の難しさといったら!!きっちりお勉強のような形で理解してもらうと、たいていはそれだけで終わってしまい、その人の想像力を刺激することができません。理解のうえに成立するイメージへ至る道・・・。まだまだ正解への道のりは遠いなぁとおもう今日この頃です。

2016年08月16日

HPをようやく・・・

 私が契約していたサーバーがサービスを終了しますとお手紙をもらってから1年半。日常の忙しさにかまけてネットでは存在していないような状況でした。お盆休みを返上し、がんばってとりあえず形だけでも復活をとげました。これまでの仕事など何を載せていいのやら、そして順番にアップできるのか、はなはだ疑問ですが、とりあえず、生命誌の仕事は古いものから新しいもの順にアーカイブとして作成する予定です。

 どうにもHPとは相性が悪いのか、このblogも滞るとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

2016年08月12日